腫瘍の治療に精通する”Oncologist”育成に向けて
放射線治療は手術・化学療法と並ぶがん治療の3本柱のひとつであり、放射線治療医の本質とは、全身の腫瘍の治療に精通する”Oncologist”であるといえます。放射線治療の対象疾患はほぼすべての悪性腫瘍にわたり、頭頸部がんや肺がん、食道がん、前立腺がんなどでは放射線治療が第一選択となることも多くなっています。また悪性腫瘍だけでなく、聴神経腫瘍、血管腫、ケロイドなどの良性疾患も放射線治療の対象となっています。このような幅広い疾患を診察するために、放射線治療医は全身の診察技術を身につける必要があります。また外科や内科の医師と連携しながら治療方針を決定していくにあたり、手術や化学療法についても幅広い知識が求められます。
北海道大学放射線治療学教室では日本初のRALS(Remote After Loading System)やRTRT(Real-time tumor-tracking Radiotherapy)などの開発に携わり、放射線治療の発展に貢献してきました。また2014年からは陽子線治療センターでの治療を開始しており、日々多くの患者さんに高度な医療を提供しています。当科では年間1000名近くの患者さんを治療しており、多様な症例経験と手厚い指導体制のもと、国内・国際学会への参加や論文発表を積極的に行なっております。
プライベートに関しても充実できる環境が整っており、カンファレンスなどの開催は極力勤務時間内に行っています。またご家庭やお子さんの事情で遅刻・早退する場合も助け合えるような環境が整っており、女性医師の皆さんに関しては、産休や育休明けの復職に関しても柔軟に対応しています。もし興味を持たれた学生・研修医の皆様がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。
若手放射線治療医ができるようになること
放射線治療計画は、基本的にCT画像を参照して腫瘍の範囲を決定するところから始まります。これはどんな難しい疾患であっても、専攻医1年目からトライすることができます。手術と違って何度もやり直しが可能であり、どんなに時間をかけても構いません。最終的に上級医のチェックを受け、適宜手直しがなされた上で、ベストな放射線治療が実際の患者さんに提供されます。この一連の流れを専攻医が何度も繰り返し経験することで、だんだん一人で対応できるようになっていきます。
北海道大学病院放射線治療科には様々な種類の疾患を持つ患者さんが数多く受診されるため、専攻医の研修施設として十分な環境が整っています。下記に専攻医1年目から5年目にかけて、基本的に一人で対応できるようになる疾患を示しています。様々な重要疾患が、比較的早期に一人で対応できるようになることが分かるかと思います。放射線治療専門医取得後は、真に独り立ちし、自分の責任の下、患者さんに高いレベルの放射線治療を提供していきます。早期に独り立ちできることは放射線治療医の魅力の一つです。