神経放射線診断

研究成果:FA image DB by Dr. Tha KK

 

寺江グループ

1)拡散強調画像

プロトンの拡散運動を強調した画像法である。中枢神経系における拡散強調画像の臨床応用、高いb-値を用いた拡散強調画像の利用性(図1)、撮像条件の最適化等に関する研究を行っている。

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図1 High b-value拡散強調画像

急性期低酸素性脳症(発症から24時間以内):高いb値(b=3000s/mm2)を用いた拡散強調像画像(A)。両側頭頂後頭葉の灰白質や基底核を中心に強い高信号がある。通常の拡散強調像画像(b=1000s/mm2)(B)では同部が高信号として認められるが、高いb値の拡散強調像画像ほど明瞭ではない。異常所見は、T2強調像画像(C)やFLAIR像(D)では指摘困難である。高いb値を用いた拡散強調像画像では、正常の脳実質の信号が抑制される。よって、restricted diffusionを伴った低酸素性脳症病変がより明瞭に描出されると考えられる。

 

2)拡散テンソル画像

拡散の異方性を表す画像法である。他のMRI撮像法よりも鋭敏に異常をとらえることができると期待されている。正常人における大脳白質の加齢に伴う拡散テンソルパラメータの変化、中枢神経系の変性疾患や精神疾患における大脳白質の拡散テンソルパラメータの異常に関する研究、拡散テンソル画像における標準化(図2)や平滑化の影響等に関する研究を行っている。

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図2 拡散テンソル画像の標準化

拡散テンソル画像法の主なパラメータであるFractional anisotropy (FA)値を空間的に標準化し、正常人での値との比較をz-scoreで表した画像である。正常人と比べてFA値の低い部位は緑〜青、高い部位は赤〜黄色で表示されている。本症例は、両側大脳白質(特に頭頂葉)や視床等にFA低下を示す部分が認められる。

 

3)FLAIR像

水抑制T2強調画像で、脳溝内や脳表・脳室付近の異常を指摘するのに優れた画像法である。脳脊髄液空内に高信号をきたす状態に関する研究を行っている(図3)。

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図3 Gd造影後FLAIR像
腎機能障害によりGd造影剤の尿中排泄が遅れている症例。脳脊髄腔内や眼球内のGd造影剤の残存を認め、脳脊髄液の信号が上昇している。クモ膜下出血や髄膜炎などとの鑑別に重要である。

 

4)MRスペクトロスコピー

MRIを用いて、生体内の分子の種類・成分等を調べる画像法である(図4)。中枢神経疾患における生体内の分子の変化に関する研究を神経内科と共同で行っている。

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図4 シングルボクセル法1H-MRS

本症例はanaplastic astrocytomaで、Cho/Crの上昇とNAA/Crの低下が認められる(Cho=Choline、Cr=Creatine、NAA=N-acetyl aspartate)。

 

工藤グループ

1)CT・MR灌流画像の定量性の研究

CTやMRIを用いた定量的な脳血流解析に関する研究で、解析アルゴリズムの最適化や標準化に関する研究を行っている。CT灌流画像(CT Perfusion)では、定量性向上のために血管除去のアルゴリズムを開発した(図5)。MR灌流画像(MR Perfusion)では、高分解能撮影の検討を行っており、髄質静脈の描出に成功している(図6)。標準化に関しては、ASIST-Japan(Acute Stroke Imaging Standardization Group _ Japan、http://asist.umin.jp/)、平成17年度厚生労働省循環器病研究委託費17公-3(急性期脳梗塞におけるCT,MRI検査の標準化に関する研究)に基づく研究プロジェクトグループに参加し、様々な標準化手法を提案している。

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図5 CT灌流画像における血管除去法

通常のCBF画像(A)では脳表上の血管が非常に目立っている。CBV値による閾値処理での血管除去(B)では血管除去が不十分な部分がある。新しく開発した血管除去法(C)ではほぼ完全に血管が除去されており、脳実質の血流が明瞭に観察される。

 

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図6 高分解能MR灌流画像

従来の分解能のMR灌流画像では、細かな血管構築が描出されない(A)。高解像度撮影を行うことで、側脳室周囲の細い髄質静脈が良く描出されている(B)。

 

2)CT・MR灌流画像解析ソフトウェア PMA(Perfusion Mismatch Analyzer)の開発

本ソフトウェアはASIST-Japan(脚注)の活動の一環として開発されたもので、Windows PC上でCT灌流画像やMR灌流画像のデータを迅速に解析し、CBF、CBV、MTTなどの定量マップを作成することができる(図7)。解析は全自動で行われ、ユーザが面倒な設定を行う必要がないという特徴がある。また、解析手法はASIST-Japanにおける標準化手法を全て採用しており、現時点で最も妥当と思われる手法が採用されている。解析後の評価に関しても、いわゆるDiffusion-Perfusion Mismatchが半自動で計測され、血栓溶解療法の適応決定に際して有益な情報を得ることができる。全てのメーカのCT/MRIデータを解析することが可能である。本ソフトウェアはASIST-JapanのWeb-Page(http://asist.umin.jp/)にて無償でダウンロードできる。

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図7 PMA(Perfusion Mismatch Analyzer)

ASIST-Japanにおける標準化手法を採用したソフトウェア。

 

3)磁化率強調画像(Susceptibility-Weighted Imaging、SWI)

SWIとは、脳組織の磁化率の違いを強調した画像で、出血や石灰化の検出に優れ、高分解能MR-Venographyにも応用されている。このMR-Venographyを用いて、MR灌流画像の血管除去への応用を試みている。その他、SWIの撮像法に関する基礎的検討、脳血流との相関、脊髄のSWIなどの研究を行っている(図8)。

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図8 磁化率強調画像(SWI)

SWI(A)では頭蓋内の静脈構造を高分解能で描出できる。SWI画像から静脈のマスクを作成し(B)、CBF画像(C)での血管除去に応用した(D)。

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