放射線治療

まず、患者さまにお伝えします。固形がんに対する局所治療には放射線治療と手術とがあり、化学療法はその補助的な役割を有します(白血病では抗がん剤だけでも治癒します)。手術と放射線治療の違いは、前者は人間の手で腫瘍を取り出し、後者は物理的な手法で腫瘍を消滅させることです。たとえて言えば、木の枝に張り付いた氷を取り去るのに、手術では木の枝を切って接木をするのに対して、放射線治療では湯をかけて氷を解かすような違いであります。

あるいは放射線は大きくならないように制御することもあります。もし、10cmの腫瘍があったとしても、それが放射線で100年間大きくならなくできれば、その前に人間のほうの寿命が終わりますので、腫瘍は”治っていた”と考えることができます。いわば、”腫瘍”を”ほくろ”や”しみ”の状態にしてしまう治療です

患者さんのアンケートでは、従来は”効果は高いが有害事象も多い”というイメージが強かったのですが、最近は”外来的治療が可能で患者に優しい”というイメージが強まっています。一般的放射線の効果が期待できる疾患は多岐に渡り、ほとんどすべての悪性腫瘍と一部の良性腫瘍に用いられております。

最近の放射線治療である定位放射線治療や強度変調放射線治療や動体追跡放射線治療は、この”患者に優しい”放射線の優れた性質を非常に高めた治療法であります。たとえば、北海道大学病院では、大手術でも全く手の届かない、しかも呼吸で動いているような体内深部の病気に対して、±1mmの照射が現実に可能な場合があります。早期肺癌や肝癌などでは、夢のように思われていた「痛くない、外来で可能な、1週間で終わるがん治療」が実現され、いままで手術ができなかった肺や肝機能の低下している患者さんや、なんらかの理由で手術を拒否する患者さんに利用され、気がついたら手術と同じような治療成績になってきて、手術との第3層比較試験が必要である、という著名研究者が現れる段階まで来ています。

前立腺癌や乳がんや子宮がんや耳鼻科領域や脳で放射線治療が非常に重要なことは、述べるまでもありません。北海道大学では、これらの従来から放射線治療が有効であることがわかっている疾患だけでなく、膵がん、副腎腫瘍、脊髄腫瘍の動体追跡照射、聴力温存を目指した聴神経鞘腫治療、小児腫瘍や脳動静脈奇形の痛みのない脳定位照射、病理検査すらできない極微小病変へのピンポイント照射など、いままで放射線治療の役割が少なかった疾患に関しても新しい治療法の開発を目指し、長期的な臨床試験を行っております。

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