中間報告(要約)

放射線治療における医療事故防止のための安全管理体制の確立に向けて(提言)

平成16年10月20日(水) 中間報告
放射線治療の品質管理に関する委員会

要約

  1. 放射線治療の医療事故防止のために、放射線物理学と線量測定に関する知識を有する者による品質管理、患者中心の医療者の意識とスタッフ間の適切なコミュニケーション、ヒューマンエラーを前提とした品質管理体制が必要である。
  2. 放射線治療の総合的で継続的な品質管理には、各病院内の品質管理に関する組織体制の整備、教育・研修、第三者機関によるチェック、情報開示が必要である。
  3. 各病院では、放射線治療の品質管理業務を、一般診療とは独立したひとつの業務として明示的に捉え、それに必要な時間・人、患者の診療時間と重ならない可能な時間帯、各業種別の責務などを自ら把握する責任がある。
  4. 具体的な体制整備のあり方は、それぞれの病院の状況に応じて様々の形があると考えるが、ひとつの在り方として、放射線治療を専らとする医師を委員長とする放射線治療品質管理委員会の整備、放射線治療品質管理を専らの業務とする者と放射線治療品質管理に関わる者とからなる放射線治療品質管理部の設置を柱とするモデルを提示する。
  5. 各病院には放射線治療品質管理を専らの業務とする者の任用を強く勧めるが、常勤するスタッフのなかに、この役目を担えるだけの知識と経験を持ち、かつそのものが品質管理業務に専念できるだけの余裕がある施設数は限られていることが今後も予想される。そういった場合には、非常勤で品質管理業務を行う職員を任用すること、あるいは契約によって他の団体に業務を委託することも可能である。
  6. 放射線治療品質管理を専らの業務とする者が非常勤あるいは契約による場合であっても、これらの者は当該病院の放射線治療品質管理委員会に参加しなければならない。
  7. 放射線治療品質管理部は、診断部門、核医学部門、放射線安全室とは、必要とされる知識も業務も異なっているため、これらの品質管理部門と合同の品質管理部にすることを原則として推奨はしない。ただし、これらはあくまでもひとつの試案であって、それぞれの施設の実態に合わせて、構築するべきである。
  8. 各病院は、放射線治療に関わる者に対して品質管理に関する計画的な教育・研修を行い、放射線治療関連学会等による初期研修や定期的な教育・研修コースを利用できるよう配慮し、放射線治療の品質管理に関わる者やそれを専らの業務とする者が、その業務に必要な知識と技術に関して研修・習得することを可能とするべきである。
  9. 放射線治療に関係する装置の導入やソフトのヴァージョンアップに当たっては、納入業者が当該病院における関係者に対する研修を行うことを強く要望する。
  10. 各病院は、放射線治療に関する第三者機関による定期的なチェックを受けるべきである。第三者機関としては、公的機関あるいは、学会などの品質管理基準を遵守する民間団体や企業や病院相互チェックにより行うことも可能であり、品質管理基準の早急な整備が必要である。
  11. 医療機関のおける放射線治療の品質管理に関する情報は、患者にとっても重要な関心事項であり、プライバシーの保護が必要なものをのぞき、積極的な情報開示を行うべきである。
  12. 放射線治療の関係した医療事故が頻発していることから、その品質管理体制を即急に全国に普及させるべきである。具体的には、今後5年間を猶予期間とし、その間にこの提言に盛り込まれた内容を漸次実現していくことが勧められる。
  13. 公的な機関や学会が品質管理の基準を早急に示し、その共通のガイドラインに従った放射線治療の品質管理を目的とした民間の団体や企業の事業活動を通して、放射線治療装置を有する全施設が、第3者機関による品質評価を、ガイドライン完成後3年以内に受けることが望ましい。
  14. 初めて放射線治療装置を購入・設置するような医療施設では、最初から放射線治療専門医、放射線治療専門技師の他に、放射線治療の品質管理を専らとする者を確保し、この提言に示した品質管理体制を最初の時点から敷くことを強く勧める。
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